C型肝炎「治癒する時代」、新たな薬剤耐性変異を生まぬよう適応は慎重に

2017/01/05

リアルワールドでも、治験同様の高い著効率

新規治療薬の登場により、治癒が期待できるようになったC型肝炎。実臨床での使用データが11月、日本消化器関連学会(JDDW)と米国肝臓学会議(AASLD)で発表されたことを受け、ギリアド・サイエンシズ株式会社は12月21日、都内でメディアラウンドテーブルを開催。日本赤十字社武蔵野赤十字病院の泉並木院長が、「大規模臨床データからみる『ソバルディ』『ハーボニー』の有効性と安全性」と題して講演した。 C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)が肝臓に感染して起こる炎症性の疾患。症状を自覚することなく経過することが多く、無治療のまま放置すると、長い年月を経て肝硬変や肝がんに進行するリスクがある。日本のHCVキャリアは推定150~200万人で、肝がんの60%はC型肝炎が原因とされる。2015年にジェノタイプ2型C型慢性肝炎治療薬「ソバルディ(R)」(一般名:ソホスビル)とジェノタイプ1型C型慢性肝炎治療薬「ハーボニー(R)」(一般名:レジパスビル・ソホスビブル配合剤)が発売。100%近い著効率から、C型肝炎治療の概念を大きく変えた。

インターフェロン・フリー治療不成功例へは、薬剤耐性変異に注意

2016年9月までに武蔵野赤十字病院でソバルディ+リバビリンで治療したジェノタイプ2型の患者162例のうち、12週時点で血液中のHCV RNA陰性化率は97%、全国赤十字病院での787例でも、4週時点ではあるが陰性化率97%と、治験同様に高い著効率が示された。また、武蔵野赤十字病院でハーボニーによる治療を行ったジェノタイプ1型の患者274例では、12週時点で陰性化率97.9%、全国赤十字病院での1,238例では4週時点で99%の陰性化率と、こちらもリアルワールドでも治験と同様の結果が出ているという。なお、両剤とも、陰性化しなかった症例に共通する因子は、今のところみつかっていないという。 新規治療薬の登場により、C型肝炎は治癒することが当然という時代に突入した、と泉氏。しかし、どんな症例でも薬を飲めば治るという強気の姿勢で治療を推し進めてはならないという。特に注意が必要なのが、インターフェロン・フリー治療をすでに行っている症例である。ソバルディを含む治療やハーボニーによる治療でうまくいかなかった症例の場合は、再度同剤による治療を行うことで陰性化を得られる可能性があるが、ダクラタスビル+アスナプレビル併用療法での不成功例の場合は高度な判断が必要とされる。 日本肝臓学会の「C型肝炎治療ガイドライン(第5.2版)」では、ジェノタイプ1型でダクラタスビル+アスナプレビル併用療法やオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビルによる治療の非著効例で、Y93/L31変異が惹起されている場合には、ハーボニーによる治療の適応判断と治療方針を十分な知識と経験をもつ専門医が検討するべきとしている。これは、薬剤耐性変異のパターンをみて判断する必要があるためで、ハーボニーによる治療を行うことで、HCVがさらに複雑な多剤耐性を獲得するリスクを考慮してのこと。泉氏によると、Y93/L31だけでなく、P32やA92などY93とは共存しない変異も含む多彩な変異が確認されており、多重の耐性変異が起こると、今後の治療が困難になるという。これらの変異をもつ症例に対するハーボニーの治療については、現在実臨床での結果を集めているとのこと。どのような変異がある場合に治療を控えるべきか、今後ガイドラインで周知していく予定という。
提供元:QlifePro
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